歯が痛くなったら、まず疑うのはむし歯でしょう。しかし、歯の痛みは必ずしもむし歯とは限りません。また歯周病が悪化すると噛んだときなどに歯に痛みを感じることがあります。一般的に歯に痛みを感じるのは、むし歯菌や歯周病菌などの細菌感染が考えられますが、中には細菌感染していなくても歯に痛みを感じるケースもあります。今回は、細菌感染ではない痛みの原因と考えられる「歯列接触癖(TCH)」についてお話をいたします。

むし歯や歯周病は細菌感染による「感染症」

歯に痛みを伴う代表的なトラブルであるむし歯は、ミュータンス菌などむし歯菌により酸が放出され、歯が溶けていく感染症です。また歯周病は、歯周病菌により歯ぐきや歯を支える組織に炎症が起こり、歯ぐきの出血や腫れといった症状が起こります。どちらも歯を失うきっかけとなりますが、両者とも細菌感染による感染症であり、原因となる細菌が何らかの形でお口の中に入り込んでしまうことでトラブルを引き起こしてしまいます。

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無意識の噛み締めや食いしばりによる「歯列接触癖」とは

歯に痛みがあり、もしかしてむし歯かも?と思って歯科医院を受診したものの、むし歯と診断されないことがあります。また歯ぐきに炎症も見られず、歯周病の兆候も見られない場合、いったい痛みの原因は何でしょうか。考えられる原因として、歯ぎしり食いしばりなど、上下の歯を常に接触させている状態が挙げられます。歯ぎしりは主に就寝中に上下の歯を強く擦り合わせること、食いしばりは日中、無意識に上下の歯を噛んで強く接触させている状態を言い、無意識の癖として行われています。これを「歯列接触癖」または「TCH」と言います。それ以外にも無意識に上下の歯をカチカチと鳴らす癖も歯列接触癖と定義付けられています。

歯列接触癖が続くと、起きたときに奥歯に痛みを感じることがあります。この痛みをむし歯と思ってしまうものと考えられます。長期間、強く噛み締めることで歯に負担がかかり、歯が磨り減ったり割れてしまったりと悪影響が出てしまうことが心配されます。また歯接触癖による症状は歯だけでなく、顎に痛みやだるさを引き起こすことがあります。これが続くと、顎関節症になる恐れが出てきます。

 

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できる限り上下の歯の接触させないように過ごすことが大切

歯列接触癖が長く続くと、歯や顎に良くない影響が出てしまうため、できるだけ上下の歯の接触をさせないようにすることが改善策となります。まず上下の歯が接触しないよう意識して過ごすことを心がけましょう。また物理的に接触をさせないために、スプリントと呼ばれるハードタイプのマウスピースを付けておくことで、上下の歯の接触を避けることができます。

むし歯や歯周病だけがお口のトラブルではありません。日常の癖が思わぬトラブルに繋がることがあるため、おかしいな、と感じたら早めに歯科医院で診てもらうようにしましょう。