歯周病は、今では生活習慣病と位置付けられ、歯周病用の歯磨き剤のCMを見ない日はありません。歯周病の主な症状は歯ぐきの腫れと出血です。この症状は子どもにも見られますが、子どもは歯周病にならないのでしょうか。また歯周病とは何歳からなるものなのでしょうか。

歯周病は、歯を支える歯周組織に起こる炎症の総称

昔は「歯槽膿漏」と呼んでいた症状を、今は「歯周病」と表現することがほとんどです。歯周病とは、歯を支える組織、つまり歯ぐきや歯根膜、そして歯槽骨などに起こる炎症のことを言い、歯肉炎と歯周炎に分けられています。歯肉炎は、歯ぐきに起きる炎症で、歯ぐきの腫れと歯磨き時の出血を伴います。

いっぽう歯周炎は、歯肉炎が悪化して歯を支える歯槽骨に吸収が見られる症状を言います。歯周炎には軽度歯周炎、中度歯周炎そして重度歯周炎に分けられます。軽度歯周炎は歯ぐきの腫れや出血、歯周ポケット数値が3ミリ程度と歯肉炎が少し進行した状態で、適切なブラッシングと歯石除去、クリーニングで十分改善が見込めます。

中度歯周炎になると、歯ぐきの腫れと出血に加え、歯周ポケット数値が4~5ミリと数値が上がります。炎症が少しずつ歯槽骨へ広がっており、歯ぐきが下がってきます。また口臭がきつくなるなど、自覚症状が少しずつ出始めます。歯が揺れているかどうかを測る「動揺」という検査でも、少し揺れが確認できるなど、症状が悪いほうへと進んでいることがわかります。

そして重度歯周炎まで症状が悪化してしまうと、歯ぐきが腫れて痛みを感じ、噛むことが辛くなります。歯周ポケット数値は8ミリ以上と、かなり高い数値になってしまいます。中には12ミリなど、目を疑うような数値の方もいらっしゃいます。ここまでくると歯槽骨の吸収がかなり進み、歯を支えることが困難な状態になります。指で触っても歯がグラグラしているのがわかり、他人からは「口臭がひどい」など指摘されるようになります。これは炎症を起こした歯ぐきに膿が溜まり、悪臭を放っているからです。この状態を「歯槽膿漏」と言い、残念ながら歯を残すことは非常に難しくなります。また歯周炎は全身の健康にも悪影響を与えるとも言われており、健康面から考えてもリスクが高い病気だと言えるでしょう。

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子どもは主に歯肉炎、20代から歯周炎に進行することも

一般的に、お子さんは歯周炎まで進行することはあまりありません。しかし歯ぐきの炎症は比較的低年齢から見られます。これは歯や歯ぐきの境目に付いた汚れがきちんと落とせていないことから、歯ぐきが腫れてしまうのです。思春期のお子さんは特に「思春期性歯肉炎」という、主にホルモンバランスの影響によって歯肉炎が起きやすい状態となります。歯肉炎の場合、適切なブラッシングと歯科医院での定期的なクリーニングにより改善することができます。

しかし成人になると、歯周炎のリスクが少しずつ高まります。早い方は20代で歯周病、つまり歯周炎と診断される方もいらっしゃいます。いちど歯周炎になると改善することはなかなか大変です。年齢を重ねるにつれ、歯周炎のリスクが高くなり、気が付けば歯がなくなっていた、なんてことになりかねません。

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基本的にお子さんは歯肉炎で治まることがほとんどですが、年齢が上がるにつれ、だんだん歯周病のリスクが高くなります。年齢に関係なく、お口の中を常に清潔にしておくことが何よりも大切です。