神経まで進行してしまったむし歯の場合、根の治療を終えた後に土台を立てて被せ物を被せます。この被せ物には保険適用のものと自費のものがありますが、絶対に自費のほうが良いのでしょうか。

保険と自費の違いは、素材と費用だけ?

むし歯になり、被せ物が必要になった場合、素材に迷うことがあります。保険適用のものは費用が安いというメリットがあります。しかし保険治療の場合、使用できる素材が限られています。目立つ前歯は表側が白いレジン、裏側が金属になります。4,5番目の小臼歯では、CAD/CAM冠という白いハイブリッドセラミックが選べますが、歯を削る量が多い場合、強度の面から銀歯になってしまうことがあります。また奥歯の場合、保険では銀歯になります(条件付きで下顎の6番目の歯にCAD/CAM冠が適用できるようになりました)。

自費素材は、セラミッククラウンやジルコニアセラミッククラウン、e-maxなど色々な種類があり、セラミックの種類によって適している部位はあるものの、いずれも部位の制限はありません。審美性に優れていることは誰もが知るところであり、自費素材ゆえに高額費用であることも、よく知られています。

では保険と自費の素材の違いは、素材と費用だけでしょうか。

 

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二次カリエスのリスクが低いのは自費素材

結果から言えば、保険素材よりも自費素材のほうが二次カリエスのリスクは低くなります。と言うのも、歯と補綴物の接着方法と接着性が異なるからです。自費のセラミックの補綴物は歯との密着性がよいため、細菌が入り込みにくく、二次カリエスになりにくいと報告されています。保険の素材は表面がザラザラしておりプラークがつきやすいこと、歯との接着性がそれほど良くないため、唾液によってセメントが流れ出しやすく、虫歯菌が入り込んで補綴物が浮き上がってしまいやすくなることから二次カリエスリスクが高くなります。

審美面だけでなく、耐久性から考えても自費素材のほうが長持ちはすると言えます。

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お口の健康を維持する環境が大切

自費素材だから絶対にむし歯が再発しないという保証は残念ながらありません。むし歯リスクを低減できても、ゼロと断言はできないのです。むし歯治療後で大切なことは、むし歯の再発を防ぐことです。歯はいちど削ると常に再治療のリスクを背負うことになります。というのも、どれほど精密に修復しても、天然歯には適わないからです。例えば部屋の壁紙を想像してみて下さい。壁紙の一部が破れたり剥がれてしまったら、接着剤をつけたり、同じ素材や模様のものを張り付けたりしますよね。しかし何年か後に、修復した部分が再び剥がれてしまい、また修理が必要になる・・・歯の治療も似ています。修復物は修復物です。大切なことは、治療した歯が再びむし歯にならないよう、常にお口の環境を整えることです。そのためには定期検診は欠かせません。ご自身の歯を長持ちさせるためにも、普段からお口の中のケアは入念に行い、定期検診は必ず受けるようにしましょう。