春を迎え、汗ばむことが増えてきた。時計やアクセサリーなど、金属が
原因で赤みや発疹が出る金属アレルギーは、汗が原因となりやすい。
しかし直接金属に触れていない部分にも、歯の詰め物などの金属が原因
で全身に症状が出る場合もあり、注意が必要だ。
同じ金属に繰り返し触れると、汗や唾液(だえき)で溶け出した金属
イオンが体内に入り込む。これがたんぱく質と結びつき、異物とみなさ
れるとアレルギーの原因となる。
最近注目されているのが、歯科の治療で使う金属が原因となる『歯科
金属アレルギー』だ。
「皮膚科などでいくら治療しても治らない場合や、症状が出る前に集
中的に歯科治療を行った場合、歯科金属アレルギーが疑われます」と、
東京医科歯科大臨床教授で、松村歯科医院(東京都)の松村光明院長は話す。
歯科用合金には、ニッケルやクロム、コバルトなど、アレルギーを起こ
しやすい金属が使われている。歯の詰め物などに含まれる金属が唾液を通
じて血液に流れ込むと、全身に症状が出る。
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金属に接している部分が赤く炎症する口内炎のほか、口の中や皮膚に
編み目模様の白い斑点ができる扁平苔癬(へんぺいたいせん)、手のひ
らや足の裏にうみを持った水疱(すいほう)状の湿疹ができ、その後、
ボロボロと皮がむける掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、手足
に小さい水ぶくれが出来て、かゆみがある異汗性(いかんせい)湿疹な
どがある。
歯科金属アレルギーが疑われる場合、金属パッチテストを受ける。
日本歯科大皮膚科学の山口全一教授によると、背中や腕の内側に、原因
として疑われる約20種類の金属の試薬を含んだばんそうこうをはりつ
け、そのまま2日間過ごす。ばんそうこうをはがし、1時間後、1日後、
2日後、1週間後にそれぞれ、アレルギー反応が出ているかどうかを調べる。
この結果や症状をもとに、アレルギーの原因が歯科金属にあるかどうか
を診断する。原因として強く疑われた場合、過去のカルテなどで該当する
金属が使われているかどうかを確認する。
陽性反応が出た金属が含まれていた場合は、治療で使った金属を取り
除き、代わりにセラミックやプラスチックなど、金属が含まれていない
材料と交換する。インプラント(人工歯根)には、アレルギーを起こし
にくいチタンが使われているため、症状が出る場合はほとんどないという。
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もともと金属アレルギーが出やすい人は、歯科治療の際に初めから金属
を使わないという選択肢もある。 (朝日新聞デジタル2012.04.26より)
歯科金属アレルギー対策には、口腔内の金属を全てセラミックスにやり
替えることをお勧めします。