これから暑くなる夏本番を迎え、水分摂取が欠かせなくなります。特にスポーツをする方や熱中症の予防という意味で需要が高いのが、スポーツドリンクです。手軽に水分補給ができるスポーツドリンクですが、摂取の仕方によってはむし歯リスクを高めてしまいます。今回は、スポーツドリンクとむし歯の関係性についてお話を致します。
水分補給に欠かせないスポーツドリンクですが・・・
ジメジメした梅雨が明けると、本格的な夏がやってきます。近年は気温も上昇し、毎日３０度以上というのはもはや当たり前になってきており、水分補給が欠かせなくなります。
水分が不足すると怖いのが、熱中症です。熱中症は室内でも起きてしまうことがあるため、熱中症の予防として水分補給が欠かせません。そして汗で失われた電解質のバランスを取り戻すには、ただ単なる水だけではなく、体の電解質のバランスを整えてくれるスポーツドリンクや経口補水液が効果的です。
また最近では色々な種類のスポーツドリンクが販売されており、飽きずに色々な風味を楽しむことができるため、ジュース代わりに飲む方も多いのではないでしょうか。
水分補給はもちろん大切ですが、ジュース代わりとしてたくさん摂取しすぎると、歯の健康に悪影響を与えかねません。特にスポーツドリンクの過剰摂取はむし歯リスクを高めてしまう可能性があると言われていますが、それはなぜでしょうか。
スポーツドリンクがむし歯リスクを高めるのはどうして？
ではなぜスポーツドリンクを過剰摂取するとむし歯リスクが高まるのでしょうか。それはスポーツドリンクによってお口の中のphが変化することと、スポーツドリンクに含まれる「糖分」が大きく関係しているからです。
１．お口の中のph値が酸性に傾くため
ph値というのは、お口の中の酸性・中性・アルカリ性を表す数値のことです。0から14までの数値で表され、酸性に近づくほど数字が低くなり、高い数値はアルカリ性を表します。私たちのお口の中は、唾液の働きにより常に中性を保っていますが、飲食をするとph値が酸性へ傾きます。酸性の代表といえば胃液で、ph値1~2とされていますが、スポーツドリンクはph値３.6～4.3で、酸性の数値が高いことが分かります。
そして酸性の状態が長く続くと虫歯リスクが高まってしまいます。と言うのもむし歯を作る虫歯菌は酸性がとても好きで、活動しやすい場になるからです。飲食によりお口の中が酸性に傾くと、まずエナメル質の表面が溶け、そこへ虫歯菌が活動することで虫歯リスクが高まってしまうのです。
２．砂糖がたくさん含まれているため
スポーツドリンクが美味しいのは、甘みがあるからです。水だけよりも、味があるほうがついゴクゴクと飲んでしまうのではないでしょうか。その美味しさの元が甘みであり、砂糖です。中には同じ甘味料でも砂糖不使用のものもありますが、多くのスポーツドリンクは砂糖が使われています。
砂糖は虫歯菌の大好物です。虫歯菌が砂糖をエサにして歯を溶かし、むし歯を作り出してしまうのです。このため甘味料として砂糖が含まれているスポーツドリンクをジュースのようにたくさん摂取すると、むし歯リスクがかなり高くなってしまうのです。
スポーツドリンクでむし歯にならないためには？
水分補給として手軽に美味しく水分補給ができるスポーツドリンクですが、摂取の仕方によってはむし歯を作りかねません。スポーツ時の水分補給や熱中症の予防などでスポーツドリンクを摂取する際、虫歯にならないようにするために気を付けるべき点についてご紹介します。
１．お口の中に入れる時間をできるだけ短くする
むし歯はお口の中に糖分が留まる時間が長くなるほどリスクが高まります。そのためスポーツドリンクを過剰に摂取することや、時間を空けずにたくさん飲んでしまうと、その分糖分がお口の中に留まる時間が長くなってしまいます。またお口の中が酸性になる時間が長くなると、その分虫歯菌が活動してしまいます。スポーツドリンクを摂取するときは、できるだけ短い時間に留めるようにしましょう。
２．スポーツドリンクを飲んだ後に水などを飲む
スポーツドリンクにはむし歯の元となる砂糖が含まれています。またスポーツドリンクを飲んだ後はお口の中が酸性に傾くため、虫歯菌が活動しやすい環境となります。この虫歯菌が活動しやすい環境にしないためには、スポーツドリンクを飲んだあとに水やお茶などを飲むことが対処法の一つとなります。大量に飲まなくても、水でお口の中をゆすぐ程度でも構いません。スポーツドリンクを飲んだ後は水などを飲んだりお口をゆすぐ習慣を付けておくことをお勧めします。
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体の水分バランスに必要なスポーツドリンクは、摂り方に注意しましょう
スポーツドリンクがむし歯リスクを高める理由についてお話しました。スポーツドリンクは、失った体の水分をバランスよく補給するために効果的なな飲み物です。しかし飲み方によってはむし歯リスクを高めてしまうため、ご紹介した方法を参考にしていただき、体とお口の健康を守るよう過ごして下さい。
コラム監修者 にしお歯科院長 西尾裕司
大阪大学歯学部を卒業後、医療法人江坂歯科医院に勤務、翌年院長に就任する。その後、 大阪府の歯科医院にて5年間勤務。 その後、平成18年に「千里中央 にしお歯科(大阪府豊中市)」を開院。