歯やお口の健康の基本は、毎日の歯磨きです。毎日の歯磨きがきちんとできていることで、虫歯や歯周病のリスクを減らすことができるため、歯磨きはとても重要です。しかししっかりと磨こうとするあまり、ついゴシゴシと乱暴に磨いていませんか？強いブラッシングは歯にトラブルを引き起こすことがあります。では強いブラッシングによって、どんなトラブルが起きるのでしょうか。
きちんと磨く＝強く磨くではありません
皆さんは歯磨きの時、歯の汚れをきちんと落とそうとするあまりつい力を入れ過ぎてしまいませんか？ゴシゴシと力を入れたブラッシングは、正しい歯磨きではありません。また歯磨き粉をたくさんつけてお口の中が泡一杯になると、爽快感により歯磨きをした！という気分になるのではないかと思います。きちんと磨けていればそれほど問題はありませんが、歯磨き粉の中に含まれる研磨剤に、強いブラッシングが加わると歯や歯ぐきにダメージを与え、歯や歯ぐきにトラブルが起きてしまうことがあります。では強く磨くことにより、どのような影響を受けてしまうのか見ていきましょう。
乱暴な歯磨きにより起こりやすいトラブルとは？
ゴシゴシと強い力で歯磨きをすることで起こりやすい主なトラブルは、以下のとおりです。
くさび状欠損
くさび状欠損とは、歯を強く磨きすぎたために起きる症状で、歯と歯ぐきの境目がすり減ってしまいます。歯冠部分は固いエナメル質で覆われていますが、くさび状欠損になると、歯の根元が露出して沁みる症状が起こります。歯の根元部分はエナメル質がないため、冷たい風や飲み物などの刺激がダイレクトに伝わり、痛みとなって現れます。エナメル質に覆われていないということは、神経が入っている象牙質がむき出しとなっている状態のため、しみるだけでなく虫歯リスクも高まってしまいます。
歯肉退縮
強いブラッシング圧により、歯肉が退縮して下がってしまうこともトラブルの一つです。強く磨くことで歯ぐきに傷がつき、歯ぐきが下がってしまいます。歯ぐきが下がると歯が長く見え、年齢よりも老けた印象を与えるため、審美性が低下します。また歯ぐきが下がることで歯と歯の間のすき間である「ブラックトライアングル」が作られてしまいます。ブラックトライアングルになると食べ物が挟まりやすくなってしまうなど、食事の際に不便を感じるようになってしまいます。
またくさび状欠損同様、歯の根元が露出することで虫歯リスクが高まります。
フェストゥーン
フェストゥーンとは、力を入れ過ぎた歯磨きが原因で歯肉が分厚くなることです。フェストゥーンが起きている歯肉は、ロール状のようになっています。磨きすぎが主な原因ですが、噛み合わせが原因になっていることもあります。
くさび状欠損や歯肉退縮の治療法とは？
ゴシゴシと強い力で歯磨きをすることで起こりやすいくさび状欠損や歯肉退縮をそのままにしておくと、知覚過敏のような痛みや虫歯リスクが高まってしまって、日常生活にも影響が出やすくなります。このような症状が出た場合、ブラッシングの見直しとともに、治療を行うことで症状は緩和されます。
まずくさび状欠損の場合、むき出しになってしまった歯の根元に虫歯治療で使うレジンを使って根元を保護します。見た目は歯の色とほとんど変わらないため、レジンで治療をしたことがほとんど分かりません。
歯肉退縮の場合、いちど下がった歯肉は自然に元通りになることはありません。外科処置で歯肉の再生などを行っている医院もありますが、多くは経過観察となります。
また歯肉がこれ以上下がらないようブラッシングに気を付けることで、悪化を防ぐことができます。
歯周病でも歯ぐきが下がります。当院の歯周病治療について詳しい内容はこちら
正しい歯磨きを行いましょう
歯磨きは、ただやみくもにゴシゴシと磨くだけでは汚れがきちんと落とせません。磨いたつもりでいても、実際は磨けておらず、汚れが残ったままの方も多いのではないかと思います。また研磨剤や泡立ち効果のある歯磨き粉を使って強く磨くことも、歯ぐきを痛める原因になります。
正しい歯磨きというのは、軽い力で小刻みに歯ブラシを動かしながら磨くことです。特に歯と歯の境目は汚れが残りやすいため、丁寧なブラッシングが必要です。そんな弱い力で大丈夫？きちんと磨けてる？と不安になるかもしれませんが、しっかりと汚れを落とすことができます。
ただ文字で見ても、どのようにすればよいのか分かり辛いのではないかと思います。実際に歯医者へ行き、歯科衛生士に磨き方について教えてもらいましょう。
1か月も経たないうちに歯ブラシの毛先が開いた、歯がなんとなく長くなった気がするといった症状が起きたときは、正しい歯磨きができておらず、力を入れ過ぎた、間違った歯磨きを行っているのではないでしょうか。このように、ゴシゴシと力任せに磨く磨き方は、歯や歯ぐきに悪影響を与えてしまうのです。
正しい歯磨きの仕方が分からない場合、恥ずかしがらずにかかりつけの医院で先生や歯科衛生士に尋ねてみましょう。