新型コロナウィルスやインフルエンザ、花粉症などまだまだマスクが手放せない時期が続きますが、マスクを着けているうえで気になるのが口臭という方も少なくないと思います。マスクをしている自分の息がくさい、マスクから漏れている口臭が他の人に不快感を与えていないかなど、今回はマスク生活における口臭についてお話いたします。
マスクは自分の息を感じやすい
マスクを着けているときと外しているときとでは、自分の口臭の感じ取り方が違います。家の中などでマスクを外していると自分の息のにおいが気にならなくても、マスクをしてしばらくすると、自分の息のにおいが気になってしまう。こんな方も多いのではないでしょうか。
マスクを着けると当然鼻と口がしっかりと覆われるため、自分の息がマスクの中に充満します。そのため自分の息のにおいをダイレクトに吸い込むため、自分の息のにおいを感じやすくなるのです。
その際「あれ?自分ってこんなに息が臭かった?」と慌ててしまうこともあるでしょう。ですがそこでそれほど慌てなくても大丈夫です。生理的な口臭は誰でもありますし、自分の息のにおいが相手に伝わる距離は30センチくらいと言われていますので、お仕事や学校など日常生活におけるコミュニケーションにおける分は、気にしなくてよいレベルです。
しかし生理的な口臭以外に原因があるとすれば、その原因を解明し、原因に応じた対策が必要になってきます。
口臭の原因は?
生理的な口臭は誰でも持ち合わせているものです。そして生理的な口臭というものは、相手に不快感を与えることはほとんどありません。そのうえ正しくマスクをしていると、ご自身の息はほとんど漏れませんので安心して良いと言えるでしょう。
しかし生理的な口臭以外に原因がある場合、相手に不快感を与えてしまう可能性が高まります。では相手に不快感を与えてしまうような口臭には、どのような原因が考えられるのでしょうか。
1.むし歯や歯周病といった、お口の中のトラブル
口臭の大きな原因は、まずむし歯や歯周病といったお口の中のトラブルが挙げられます。特に歯周病は自覚症状をあまり感じないまま症状が進行しますが、むし歯とは違った息のにおいが発生してきます。あまり例えは良くないですが、歯周病による口臭は「下水やドブのような強烈な臭さ」と表現されることが多いようです。これは歯周病菌により膿がたまってくるためです。歯周病による口臭はマスクの中で嗅ぎ取る臭さはもちろん、重度になるとマスク越しでも強烈な臭いが漏れ、相手に不快感を与えてしまう可能性が非常に高くなります。
2.舌につく白い苔のようなもの
ご自身の舌を鏡で見てみてください。白いザラザラした、苔のようなものが付着していませんか?これは「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる細菌の塊です。歯磨きができていない、唾液が少ない、お薬の副作用などが原因で舌に白い苔のようなものが付着することがあります。舌苔は口臭の原因となるため、専用のブラシを使って優しく取り除きましょう。
3.口呼吸による唾液の減少
お口の中には無数の細菌が存在しますが、たくさんの唾液によって洗い流されます。ところが唾液の分泌が少なくなると細菌が口腔内にとどまり、爆発的に増えて口臭の原因になってしまいます。その唾液分泌の減少となる主な原因は「口呼吸」です。本来は鼻で呼吸をしますが、口呼吸の習慣がついてしまうと、ずっと口が開いたまま呼吸をしてしまうことになり、お口の中が乾燥してしまいます。その結果、お口の中の細菌が爆増して口臭となって表れてしまいます。マスクをしていて外からは口が開いているのは分かりませんが、マスクの内側では口臭をはじめ、様々なトラブルを引き起こしてしまいますのでマスクを着けていても着けていなくても、必ず鼻呼吸を意識しましょう。
4.食べ物や嗜好品によるもの
例えばニンニクたっぷりの食事やアルコールなどにおいが残りそうな飲食物や、コーヒー、たばこといった嗜好品はどうしてもお口の中ににおいが残りやすくなります。むし歯や歯周病といったトラブルがなくても、こういった食事のあとはどうしても口臭としてにおいが残りやすくなります。この場合食後に水を飲む、マウススプレーなどを使うなどといったことで対処できます。
これ以外にも、ストレスや思い込みによる口臭ということも考えられます。思い込みによる口臭とは、実際には気にすることのないレベルの口臭でも、「自分の息が臭くて周りから嫌われているんじゃないか」などといったケースです。この場合、口腔内に問題がなければ別の医療機関で診察をうけてみられるのも改善策のひとつになるかもしれません。
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続くマスク生活、口臭を気にせず過ごすためには
コロナ禍における日常生活は、まだまだマスク生活が不可欠となりそうです。口臭はエチケットのひとつであり、この生活をできるだけストレスを感じないように過ごすためには、ご自身で気を付けておくべき事柄がいくつかあります。
・むし歯や歯周病になっていないかどうか歯医者を受診して確認する
・毎日の歯磨きをしっかりと行う
・定期検診やクリーニングに通う
といったことが重要になります。もしむし歯や歯周病になっていれば、状態に応じた治療を行うことで改善に向かうことができます。また毎日の歯磨きや定期検診は、お口の中を清潔にそして健康を維持するために欠かすことができません。
また最近では可愛いマスクやかっこいいマスク、ブランドなど様々なマスクが販売されています。長いマスク生活を快適に過ごすためにも、こういった状況を逆に楽しむことで口臭も減らせることができると思います。
コラム監修者 にしお歯科院長 西尾裕司
大阪大学歯学部を卒業後、医療法人江坂歯科医院に勤務、翌年院長に就任する。その後、 大阪府の歯科医院にて5年間勤務。 その後、平成18年に「千里中央 にしお歯科(大阪府豊中市)」を開院。