ジメジメと蒸し暑い日が続いており、体調を崩しやすい時期になっていますが、しっかりとお食事は摂れているでしょうか?毎日の健康は食事から成り立っており、そのためにはしっかりと噛める歯であることが基本です。しかし、噛む機能が悪いとよく噛めず、体の健康にも影響が及んでしまいます。では噛む機能が悪くなる原因とはいったい何でしょうか。

加齢だけではありません!噛む機能が悪くなる原因とは?

歯や歯ぐき、噛み合わせが正しい状態であることは、よく噛んで食べることに直結します。噛む、お口の中ですりつぶす、嚥下するといった一連の動作は「口腔機能」であり、このお口の機能は、体の健康のベースになります。しかし、この口腔機能が悪くなると、しっかり噛めない、柔らかものや噛まずに飲み込めるものばかり口にするようになり、体の健康を徐々に低下させてしまう恐れがあります。よく「年をとると噛み辛くなる、むせかえるようになった」などと言いますが、加齢だけが口腔機能低下の原因ではありません。若い方でも十分に起こり得ます。

では噛む機能が悪くなるのには、どのような原因が考えられるのでしょうか。

・むし歯や歯周病で歯を失ってしまった

むし歯や歯周病は、悪化すると歯を失う原因になります。早い段階で適切な治療や処置を行うことで、歯を温存することは十分に可能です。しかし状態が悪くなってしまうと、歯を抜かなければいけなくなってしまいます。むし歯や歯周病は歯を失う最も多い原因です。

・失った部分をそのままにしている

むし歯や歯周病で歯を失ってしまった場合、すぐに補綴治療を行わなければいけません。抜けた部分をそのままにしておくと、隣の歯が傾斜する、反対の噛み合わせの歯が伸びてくるといった症状が起こり、噛み合わせが悪くなります。噛み合わせが悪くなると噛み辛くなり、反対側でばかり噛むようになってしまいます。

・差し歯の噛み合わせが悪い

差し歯やブリッジなどといった補綴物が合っていないことも、噛み合わせの悪さを引き起こします。

・入れ歯が合わなくなっている

補綴治療の中でも、入れ歯を使っていらっしゃる方は多いのではないかと思います。入れ歯は、都度調整が必要になりますが、どうしても歯ぐきが痩せてしまうため、少しずつ合わなくなってきます。合わなくなってきた入れ歯を使っているとよく噛めないため、柔らかいものばかリ食べるようになったり、入れ歯自体を外して食事をするようになってしまうこともあります。

・歯並びや噛み合わせが悪い

ガタガタの歯並びや出っ歯、受け口、オープンバイトなどの不正咬合は、噛み合わせ自体が悪くなっています。前歯で噛み切れない、奥歯で噛むと顎が痛くなるといった症状は食事にも影響が出てしまいます。

歯を失う原因のトップ!歯周病についてはこちら

口腔機能を低下させないようにするためには?

噛む機能を正常に保つために気を付けるべきことは、「早期に対処する」ということです。

一般的なトラブルと思われがちなむし歯、歯周病は、実は口腔機能低下のスタートでもあります。適切な処置を受けないと、お口の中はむし歯だらけ、あるいは歯周病で歯を一気に何本も失ってしまった、ということになりかねません。歯を失わないためには、早期発見、早期治療が重要です。

不幸にも歯を失ってしまったら、すぐに補綴治療へと進めなければいけません。歯を失ってショックを受けるかもしれませんが、そこで立ち止まらずに機能回復のための治療を受けないと、口腔機能はますます悪くなってしまいます。補綴治療には、入れ歯、ブリッジそしてインプラントがあります。どの治療が良いのか主治医とよく相談し、早期に治療を進めていきましょう。入れ歯の場合、最初はぴったりと合っていても、徐々に合わなくなっていきますので、都度入れ歯の調整を受けるようにしてください。

歯並びの悪さや出っ歯などの不正咬合は、矯正治療の対象となります。矯正治療は自費治療で高額になりますが、歯並びの悪い方は歯磨きがし辛いためむし歯や歯周病のリスクが高まり、噛む機能が悪い方は他の歯に負担がかかり、食事にも影響が出てしまいます。矯正治療で歯並びや噛み合わせを治すと、見た目はもちろん、正しい噛み合わせとなります。元々骨格が原因であったり、顎の骨のズレが著しい場合など、保険適用となる場合もありますので、歯並びや不正咬合が気になる方はまず矯正相談を受けてみましょう。

当院の矯正治療についてはこちら

低下してしまった口腔機能、向上させることはできる?

よく噛んで飲み込む。この当たり前の一連の動作は、健康な歯や歯ぐきといった口腔機能があるおかげです。しかし、口腔機能は加齢とともに低下する傾向があり、その原因は様々です。また加齢に関係なく、お口の中の状態が良くないと、若い年齢でも口腔機能を正しく維持することが困難になります。

よく噛むことは健康への第一歩です。低下してしまった口腔機能を向上させるためには、まず根本となる原因を突き止め、それに応じた治療を行うことが改善策となります。

もしむし歯や歯周病が原因の場合、すぐに治療に取り掛かりましょう。失う前に治療をすれば、歯を維持することは不可能ではありません。入れ歯が合わない方は、定期的に入れ歯のチェックを行い、都度調整をして噛める状態を維持しましょう。

噛み合わせが悪いな、と感じているかたは、咬合調整をする必要があります。噛み合わせのチェックを行うことで、噛みやすくなることもあります。

歯並びや不正咬合の方は、矯正治療を行うことで噛みやすくなります。まず矯正相談に行ってみましょう。

高齢者の方は、口腔機能を回復させるトレーニングを行っている医院や自治体で相談してみてください。口腔機能訓練や栄養指導など、色々なプログラムがありますので、まずはかかりつけ医に相談してみて下さい。

体の健康を維持するためにも、噛む機能を正常に保つことを意識して過ごしましょう。

コラム監修者 にしお歯科院長 西尾裕司
大阪大学歯学部を卒業後、医療法人江坂歯科医院に勤務、翌年院長に就任する。その後、
大阪府の歯科医院にて5年間勤務。