むし歯や歯周病からお口の健康を守るのは、毎日の歯磨きです。しかし、歯磨きをしっかりしていてもむし歯になったり、歯ぐきが赤く腫れてしまうことはありませんか?お口の健康を守るのは、歯ブラシを使った歯磨きだけではありません。デンタルフロスや歯間ブラシといった補助的な用具が欠かせないのです。ではデンタルフロスや歯間ブラシはなぜ重要なのでしょうか。

若い人はむし歯、高齢になると歯周病になりやすい

毎日の歯磨きは、乳歯のお子さんや高齢者にとってお口の健康を維持するための基本です。しかし、年代によってお口の中に起こることは違いが見られます。では若い方と高齢者は、それぞれどのようなトラブルが起こりやすいのでしょうか。

幼児~若い方はむし歯になりやすい

乳歯や生えたばかりの永久歯はまだまだエナメル質が弱く、むし歯になりやすい状態です。また10代後半~20代も、むし歯になりやすく、重度のむし歯によって歯を失ってしまうこともあります。虫歯菌はどの年代でもむし歯を作りやすくしてしまいますが、幼児や若い方は、どちらかといえばむし歯リスクが高い傾向にあります。

高齢者は歯周病の罹患率が上昇

若い方と比べ、30代以降は歯周病の罹患率が上がり、歯周病によって歯を失ってしまうケースが増えてきます。特に高齢者はむし歯もですが、口腔機能の低下や全身の病気、飲んでいるお薬の影響などもあり、最近を洗い流すための唾液分泌が減少する傾向があります。そのためお口の中が乾き、虫歯菌や歯周病菌が繁殖し、活動しやすい環境になってしまいます。

むし歯や歯周病の原因となるのはプラーク

年齢を問わずなりやすいむし歯、高齢になると罹患しやすい歯周病、どちらも根本的な原因はプラーク(歯垢)です。プラークは食べかすではなく、食べかすによって口腔内の細菌が作り出した物質です。白っぽくネバネバとしたプラークは、歯と歯ぐきの境目によく見られますが、歯と歯の間にも付着します。このプラークに虫歯菌や歯周病菌が寄り付いて酸や毒素を出し、むし歯や歯周病となってしまうのです。

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プラークを取り除くのは、歯ブラシだけではダメなの?デンタルフロスや歯間ブラシの特徴とは?

プラークは柔らかい汚れのため、丁寧なブラッシングで取り除くことが可能です。しかし、統計によると、歯ブラシによるブラッシングだけではプラーク除去率は61%と、それほど高くありません。

ここで重要になってくるのが、デンタルフロスや歯間ブラシといった補助用具です。それぞれ名前は知っているが使ったことがない、あるいは名前すら知らなかったという方もいらっしゃうかもしれません。ではデンタルフロスと歯間ブラシには、どのような特徴があるのでしょうか。

デンタルフロス

デンタルフロスは、細い繊維の束で、歯と歯の間に残った食べかすやプラークをかき出すことができます。歯並びが悪く、ガタガタした歯並びや歯と歯が重なって生えている部分に効果的です。

ドラッグストアなどで手に入れることができるデンタルフロスには、Y字の形状のものや、ケースの中からフロスを引っ張り出し、好みの長さに切って使うタイプのものがあります。初めてデンタルフロスを使う方は、ホルダータイプの方が使いやすいかもしれません。

歯間ブラシ

歯間ブラシは、ナイロン製の毛が植えられている部分を歯と歯の間に通して食べかすやプラークを取り除くことができます。ブラシのサイズは細いものから太めのものまで展開されており、歯のすき間に合わせて選ぶことができます。またブリッジが入っている場合、ダミーの歯と歯ぐきの間に詰まりがちな汚れをかき出すこともできます。

ではデンタルフロスと歯間ブラシでは、どちらを使うほうが良いのでしょうか。一般的に、歯間部が狭い部分はデンタルフロス、歯間部が広い部分は歯間ブラシを使うことがお勧めと言われています。

例えば、歯間が狭い部分に無理に歯間ブラシを通そうとすると歯肉を痛めてしまうことがあります。歯間ブラシが通らない場合はフロスを使うと良いでしょう。

逆にすき間が広い場合、フロスでは汚れが落としにくいことがあります。少し毛幅が太めの歯間ブラシを通すことで、汚れを取り除きやすくなりますので、歯のすき間に合ったものを選びましょう。

サイズが分からない場合は、かかりつけの歯科医院でご自身に合った歯間ブラシのサイズを相談されると良いでしょう。

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毎食後でなくても、1日1度はフロスや歯間ブラシを使う習慣を

フロスや歯間ブラシの重要性は理解したけど、毎食後ごとはちょっと大変・・・と思う方もいらっしゃると思います。フロスや歯間ブラシは、毎回の歯磨きごとに行うのがベストですが、生活スタイルによっては毎回フロスや歯間ブラシを使う時間がないこともあるでしょう。お勧めは、寝る前の歯磨き時に行うことです。寝る前の歯磨きの際にフロスや歯間ブラシを使って、1日の汚れをしっかりと取り除きましょう。

このように、デンタルフロスや歯間ブラシを使ったお口の清掃は、むし歯や歯周病予防に欠かせません。お口の衛生状態の向上のためにも、是非毎日使ってみて下さい。

コラム監修者 にしお歯科院長 西尾裕司
大阪大学歯学部を卒業後、医療法人江坂歯科医院に勤務、翌年院長に就任する。その後、
大阪府の歯科医院にて5年間勤務。