歯磨きをしているときに歯ぐきから出血すると、歯磨きが怖くなってしまいませんか?歯磨きの時に歯ぐきから出血するには原因がありますが、出血を怖がって歯磨きが疎かになると、原因によっては症状が悪化してしまいます。今回は、歯磨きの時に出血してもしっかり歯磨きをして良いのかどうかについてお話いたします。

歯磨きの時の出血の原因は?

健康な歯を維持するために不可欠な毎日の歯磨き。健康な歯ぐきの場合、歯磨きで出血することはほぼありません。出血が起こるには、いくつかの原因が考えられます。

1.歯周病で歯ぐきが腫れている

2.強すぎるブラッシングにより起きた傷

3.血液をサラサラにする薬の服用

4.ホルモンバランスの影響

5.血液の病気など体の疾患

このように、歯磨きの時に出血する原因はいくつかありますが、特に1.の「歯周病で歯ぐきが腫れている」は将来の歯の健康維持にとって非常に悪影響が懸念される症状です。次で詳しく見ていきましょう。

歯周病についてより詳しい内容はこちら

歯周病で歯ぐきが腫れるのはなぜ?

歯周病は、歯周病菌により歯ぐきや歯槽骨といった歯を支える役割を持つ歯周組織に、炎症が起こる病気です。炎症とは、歯ぐきの腫れや出血を言いますが、炎症の原因は、プラークです。プラークが作られてしまうのは、「歯磨きがうまくできておらず、汚れが残ったままになている」からです。

つまり、歯磨きがうまくできていないためにプラークが作られ、そこから歯周病になるのです。プラークは細菌の塊で、歯周病やむし歯の温床となる物質です。

歯周病菌によって歯を支える歯槽骨に炎症が起こり、その炎症が歯槽骨まで広がってしまうと、やがて歯槽骨は吸収されはじめます。そのままにしておくと、歯槽骨の吸収はどんどん進み、歯を支えることが困難になってしまいます。そのため歯周病になると歯を失うリスクが高まり、一気にたくさんの歯を失ってしまうこともあります。

歯そのものはむし歯でない限り、溶けることはありません。むし歯のように、痛みもあまり感じません。そのため、自分が歯周病になっていると自覚しにくいのが特徴です。特に高齢者は歯周病に罹患している割合が非常に高いですが、最近は20代といった若い年代でも歯周病になる方が増えているため、成人になると歯周病リスクは常に持ち合わせていると言えるでしょう。

歯周病について理解をしておくこと

歯を失う可能性が高い歯周病ですが、ある日突然歯周病になるのではありません。歯周病は気づきにくいため、歯ぐきの出血や歯のぐらつきによりおかしいな、と思い受診したところ、歯周病と診断されることがほとんどです。その歯周病ですが、大きく分けて2つあります。

・歯肉炎

歯肉炎は、炎症が歯ぐきだけに起こる症状です。歯ぐきに炎症が起こり、歯磨き時に出血しやすくなります。ただ炎症は歯ぐきのみで、歯周病進行度の目安となる歯周ポケット数値も2,3ミリ程度と低いのが特徴です。

・歯周炎

歯周炎は、歯肉炎が進行した状態を言います。炎症が歯ぐきから少しずつ広がり、歯周ポケット数値も4ミリ以上になるなど、数値が高くなっていきます。炎症が歯槽骨にまで広がると、少しずつ歯が動き始めてしまいます。歯周炎が少しずつ進行するにつれ、歯を維持することが困難になり、重度歯周炎になると噛む機能が著しく低下し、生活の質も下がってしまいます。

歯肉炎、歯周炎をまとめたものが、歯周病です。ひとことで歯周病と言えども、歯肉炎で済む場合もあれば、重度歯周炎まで様々です。

その根底にあるのが、歯磨き不足なのです。

歯並びの悪さも歯周病の原因に。当院の部分矯正について詳しい内容はこちら

歯磨き時に血が出ても、しっかり磨いたほうがいいの?

歯磨きのときに出血する原因のトップは、歯周病によるものです。歯周病は、歯磨きがきちんとできていないためにプラークが溜まることが原因です。歯周病により歯ぐきが腫れていると、歯ブラシの毛先が当たるだけでも血がでます。しかし血が出るから怖いといって、歯磨きがきちんと行われないとますます歯ぐきに炎症が起きてしまいます。

歯磨きの時の出血が歯周病によるものの場合、怖がらずに磨きましょう。ただし、やみくもにゴシゴシと乱暴に磨くことは、歯ぐきを傷つけてしまう可能性がありますので、力を入れず、歯と歯ぐきの境目を丁寧に磨くようにしましょう。

歯周病でないのに歯ぐきから出血する場合、強すぎるブラッシング圧により歯ぐきを傷つけてしまった可能性があります。あまり強く磨きすぎると歯ぐきを傷つけるだけでなく、歯ぐきが下がり、歯の根元が露出してしまう原因にもなりますので、優しく丁寧に磨くように心がけてください。

ただ、歯ぐきからの出血が必ずしも歯肉炎や歯周炎とは限りません。特に血液関係の病気の場合、歯周病でなくても歯ぐきから出血することがあります。ただその他にもあざができやすい、鼻血が出やすいなどといった症状がおこることもあるため、まずは歯ぐきからの出血の原因が歯周病なのか、それともその他に原因があるのか、歯科医院で診察をしてもらいましょう。

歯磨きの時に出血するというのは、必ず何かしら原因があります。その原因の多くは歯周病です。歯周病が原因の場合、正しいブラッシングでプラークを取り除き、症状が悪化しないためにも定期的なクリーニングを受けるよう心がけると、歯や歯ぐきの健康を維持することが可能になります。

歯磨きの仕方が合っているかどうか分からない、という方も歯科医院で歯磨き指導を受けて下さい。決して恥ずかしいことではありませんので、正しい歯磨きの仕方をマスターしましょう。

コラム監修者 にしお歯科院長 西尾裕司
大阪大学歯学部を卒業後、医療法人江坂歯科医院に勤務、翌年院長に就任する。その後、
大阪府の歯科医院にて5年間勤務。