歯磨きをしていたら、歯ぐきから血が出てしまった経験をお持ちの方は多いと思います。今ではむし歯と並ぶほどよく耳にする歯周病は、歯ぐきからの出血がサインとなるため、「もしかして歯周病?それとも歯槽膿漏?」と不安になることでしょう。歯ぐきの腫れと出血を伴う歯周病と歯槽膿漏、どこか違いがあるのでしょうか。

歯周病と歯槽膿漏の違いとは?

最近ではすっかり知れ渡った「歯周病」。歯ぐきから出血するからと歯科医院を受診した際「歯周病ですね」と言われ、「ああ歯周病なんだ。歯槽膿漏じゃないんだ」と変に安心した人もあるそうですが、実際のところ「歯周病」と「歯槽膿漏」は違いがあるのか疑問に思う方も少なからずいらっしゃいます。

歯周病とは「歯を支える歯周組織に炎症が起こる総称」であり、その中にあるのが「歯肉炎」と「歯周炎」です。歯肉炎は歯ぐきの腫れと出血が起こりますが、歯を支える歯槽骨に吸収は起こっておらず、適切なブラッシングで改善することができます。歯肉炎は小中学生など、低年齢層にも頻繁に起こる症状のため、日ごろのブラッシングがとても大切になります。

いっぽう「歯周炎」は、歯肉炎が悪化したもので、歯ぐきの腫れと出血とともに歯槽骨の吸収、歯周ポケット数値の悪化(4ミリ以上)などの症状が出てきます。歯周炎には軽度・中度そして重度と分類され、症状が悪化すると歯が揺れる、膿が溜まるなど色々な悪影響が出てきます。

歯槽膿漏」とは、「中度~重度歯周炎」あたりのことを言い、字の通り「膿が漏れている」状態を言います。つまり歯槽膿漏と言われたら、歯周病がかなり悪化している状態だと判断してよいでしょう。なお今では歯槽膿漏という言葉はあまり使われていませんが、年配の方たちは歯周病よりも歯槽膿漏という言葉のほうがピンとくるかもしれません。

歯槽膿漏、つまり歯周炎が悪化すると膿が溜まり、口臭も強烈なものになります。歯も揺れ動き始めてぐらぐらになり、健康な状態を取り戻すことはかなり難しくなってしまいます。

歯周病と歯槽膿漏は、同じ歯を支える歯周組織に炎症が起こる病気で意味合いは同じです。ただ歯槽膿漏と言われた場合、かなり歯周病が進行している状態と言ってもよいでしょう。

 

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歯周病を放置すると、全身の健康にも影響が

歯周病や歯槽膿漏と診断されたら、歯周病の治療を受けなければいけません。歯石除去やクリーニングなどを行い、歯ぐきの状態を少しでも良くすることで、歯周病の進行を抑制することが可能となります。しかしそのまま放置すると歯が抜けてしまうだけでなく、糖尿病や脳梗塞・認知症など全身の病気のリスクが高まると言われています。また妊婦の場合には早産や流産のリスクが高まると言われています。

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歯周病を悪化させないよう、定期的に検診やクリーニングを受けましょう

歯周病は毎日の歯磨きだけではなかなか予防することが難しい病気です。年齢を重ねるにつれ、歯周病リスクは高まるため、歯周病を悪化させないように、定期検診や予防治療を受けることがとても重要です。