普段気にすることはあまりない唾液。お口の中を常に潤している唾液は、お口の健康と体の健康にとってとても大切な役割を持っています。ところが何らかの原因で唾液の分泌が減少すると、様々な悪影響が出てしまいます。今回は唾液の役割について注目してみましょう。
唾液が持つ役割について
健康な状態では、お口の中は常に唾液で潤っています。では唾液にはどのような役目があるのでしょうか。
・食べ物をスムーズに飲み込む役目・・・咀嚼によってすり潰した食べ物が唾液と混ざることで、スムーズに飲み込む手助けをします
・消化を助ける役目・・・唾液中に含まれる酵素により食べ物の消化を助けます
・歯の再石灰化の促進・・・酸によって歯の表面から溶けだしたミネラルを補給し、歯の再石灰化を促します
・細菌を洗い流す役割・・・口腔内に存在する細菌を殺菌します
・虫歯菌の中和・・・虫歯菌が出す酸を中和し、むし歯になりにくくします
このように、唾液には非常に多くの作用があり、お口の中の健康を助けていることがわかります。
唾液分泌が減少すると?
では唾液が少なくなると、どのようなことが起きてしまうのでしょうか。
・むし歯ができやすい・・・虫歯菌を中和する作用が低下し、虫歯菌の活動が活発になります
・歯周病が進行しやすい・・・唾液には抗菌作用がありますが、唾液の分泌が減ると抗菌作用も低下し、歯周病菌が繁殖しやすくなります
・カビが繁殖する・・・唾液分泌が少なくなるとお口の中が乾燥し、元々口腔内に存在するカンジダ菌などのカビが増殖してしまいます
・口臭がきつくなる・・・唾液が少なくなると、唾液が持つ殺菌効果が低下し、口腔内の細菌が増殖して口臭の原因となります
・口内炎ができやすくなる・・・唾液が減少してお口の中が乾くと、舌や内頬の粘膜などに傷がつきやすくなり、口内炎ができやすくなります
このように、唾液が少なくなるとお口の健康に様々な影響が出てしまいます。
唾液分泌が減少する原因とは?
ではなぜ唾液の分泌が減ってしまうのでしょうか。その原因は次のようなものが考えられます。
・加齢によるもの・・・年齢を重ねるにつれ、口の周りの件肉の低下などにより唾液分泌が減っていきます
・ストレス・・・唾液分泌は自律神経によって支配されているため、ストレスを感じると唾液の分泌が抑制されることがあります
・生活習慣によるもの・・・よく噛まずに食べる、喫煙など生活習慣が原因で唾液が減ることもあります
・薬の副作用・・・飲んでいる薬によって唾液が出にくくなることがあります
・口呼吸・・・口で呼吸をする口呼吸は、唾液減少の大きな原因です
常に唾液で潤っていることが大切
唾液にはとても大切な働きがあり、唾液分泌が減ると、様々な弊害が出ることをお伝えしました。よく噛み、唾液がしっかりと出るよう意識して食事をしましょう。唾液が出にくい場合、原因に応じた対策を取ることが必要となります。もし唾液が出にくいと感じたら、まずはかかりつけの歯科医師に相談してみましょう。