今でこそ8020運動という言葉が浸透するようになってきており、将来を見据えて定期検診に通う方が増えてきています。ご自身の歯と入れ歯やブリッジといった人工の歯では大きな差があり、失って初めて歯の大切さをいうものを痛感することと思います。

 

しかし年齢を重ねるにつれ、お口の中の状態は低下していきます。「年を取ったら歯が抜けて総入れ歯になるのは仕方ない」と思う方も当然おられると思いますが、ご自身の歯があるのとないのとでは、噛む機能に大きな差が出てきます。今回は、残っている歯を大切にすることがどれほど大切なのかについてお話をいたします。

 

年齢を重ねるにつれ増すリスクとは?

 

まだ歯が生えたばかりの小さなお子さんから高齢の方まで、全ての年代におけるお口のトラブルというと、むし歯です。むし歯は歯を失う大きな原因であり、むし歯のために歯を残すことができずに抜歯となった経験をお持ちの方も大勢おられると思います。

 

しかし年齢を重ねるにつれ、歯周病がジワジワと上昇し、4、50代以降になると、むし歯よりも歯周病で歯を失うリスクが高まります。

 

むし歯は歯の痛みや穴が開いた歯を見つけることでむし歯だと気付くことができますが、歯周病は痛みがなく症状が進行していくため、歯周病だと気づきにくく、気が付けば歯がグラグラになっていた、というケースがほとんどなのです。

 

むし歯にばかり気が向きがちですが、年齢を重ねてくるとむしろ歯周病リスクのほうが増すので、歯周病に対する意識をしっかりと持っておかなければいけません。

 

 

あなたのお口の中は大丈夫?歯周病チェックリストはこちら

 

残った歯に対するリスクとは?

 

むし歯と歯周病、どちらも細菌感染によって症状が引き起こされます。むし歯で歯を失った方はむし歯リスクが、歯周病が認められる方は歯周病リスクが常に心配されます。

 

特に部分入れ歯の方は要注意です。部分入れ歯はバネをかける歯に大きな負担がかかり、近い将来バネをかけた歯がむし歯や歯周病によって失われるリスクが非常に高くなってしまいます。

 

特に歯周病で歯を失ってしまったために入れ歯になった方は、既に歯槽骨の吸収が進んでいることが多く、残っている歯も常に不安定な状態です。そこへダメージが加わることで、一気に症状が加速してしまうことも否めません。

 

と言うのも、歯周病はむし歯と違い、お口全体に症状が出てしまうからです。むし歯は一本の歯だけが悪くなりますが、歯周病は顎の骨が吸収され始めると他の歯も支えることが難しくなってくることが考えられます。

 

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今ある歯を大切にすること

 

「歯が抜けても別に気にならない」「歯がなくなったら入れ歯にしたらいい」「入れ歯が合わないからもう総入れ歯でいい」このように考える方はいませんか?歯は失って初めてその不便さと大切さに気付くものです。

 

どんなに優れた補綴物でも、自分の歯に勝るものはありません。ご自身が80歳になったときに、今と変わらず何でもおいしく食べられるためには、今ある歯がずっと健康でいられるかどうかにかかっています。

 

今ある歯を大切にするためには、定期検診がとても重要です。どこも痛くないのに歯医者に行くのは面倒と思わず、何歳になっても美味しく食事ができるよう、むし歯や歯周病からしっかりと予防しましょう。