喫煙習慣は、肺ガンや高血圧などといった全身の健康に大きく関わることはよく知られています。しかしタバコの悪害は体の健康だけに留まりません。タバコを吸うことで、お口の中の健康にも深刻な影響を与えてしまうのです。今回は今一度、喫煙習慣が与えるお口の中への悪影響についてお話いたします。

1.歯周病

歯周病は成人の約8割が罹患しているほど身近な病気です。歯周病の特徴は、歯ぐきの腫れと出血です。そのため歯周病にかかっていると、歯磨きを行うだけで歯ぐきから出血するため、「もしかして歯周病かも?」と自覚症状を感じることができます。

ところがタバコを吸っているとニコチンの影響により歯ぐきの血管が収縮し、血流が悪くなります。そのため歯周病の主症状である歯ぐきの出血があまり起こりません。その結果歯周病にかかっていることに気づきにくくなり、歯周病の診断が遅れてしまいます。また血流が悪くなると、酸素や栄養分が歯ぐきに行き渡りません。そのため歯周病が悪化しやすく、歯周病と診断されたころにはかなり進行した状態となっている場合がほとんどです。

喫煙は歯周病と非常に深く関わっています。喫煙者と非喫煙者を比べると、歯周病の罹患率は1日に10本未満で歯2.8倍、20本では4.7倍、30本では5.9倍と報告されています。

歯周病は虫歯を抑えて歯を失う原因のトップです。喫煙は歯周病の発症率が高いうえ悪化しやすく治りにくいという、悪の三拍子が見事に揃っています。喫煙がどれほど歯周病に影響を与えるのかおわかりいただけることでしょう。

 

歯周病について詳しい治療内容はこちら

 

2.口腔ガン

喫煙は肺ガンだけでなく、お口の中のガン、つまり口腔ガンのリスクが高まります。口腔ガンは舌ガン、歯肉ガン、口腔底ガンなどお口の中に発症するガンの総称です。口内炎だと思っていたのが実は口腔ガンだった、というケースも決して少なくありません。この口腔ガンに関わるリスクファクターが、タバコです。タバコに含まれる有害物質がガンの発症に関わることがわかっています。

 

3.むし歯

タバコを吸うと唾液の分泌量が減ってしまいます。その結果口腔内の細菌が増殖し、むし歯が発症しやすい環境となってしまいます。また歯周病になると歯槽骨が吸収され、歯ぐきが下がってしまいます。そのため露出した歯の根元がむし歯になるリスクが高まります。歯の表面は硬いエナメル質で覆われていますが、歯の根元はエナメル質がほとんどありません。そのため口腔内環境が悪いと、簡単にむし歯に罹患してしまうのです。

 

当院のむし歯治療の詳しい内容はこちら

 

4.口臭および歯ぐきの黒ずみ

タバコを吸う人の息は非常に臭いです。ニコチンやタールなど、タバコの有害成分の臭いに加え、歯周病の悪化による口臭と混ざると強烈な臭いを発し、相手に不快感を与えてしまいます。

またタバコを吸うと歯ぐきが黒く変色し、見た目を大きく損なってしまいます。歯ぐきのピーリングなどを行っているクリニックもありますが、やはり非喫煙者の健康的なピンク色の歯ぐきと比べるとかなり見劣りします。歯ぐきの黒ずみは喫煙者だけでなく副流煙をすってしまう家族にも現れます

 

禁煙することで、たくさんのメリットを手に入れることができます

タバコは百害あって一利なし、とはよく言ったものです。喫煙習慣はお口の中の健康を大きく損ねます。特に歯周病が悪化しやすくなり、それに伴って全身の健康にも悪影響が出てしまいます。

禁煙すると、喫煙習慣にはないたくさんのメリットを得ることができます。お口の健康、そして全身の健康のためにも意を決して禁煙に取り組んでみてはいかがでしょうか。