
審美性と耐久性に優れているセラミックには、金属が使われていないため金属アレルギーや、歯ぐきの黒ずみを引き起こすメタルタトゥーの心配がない素材です。しかし全てのセラミックに金属が使われていないわけではありません。では金属が使われているセラミックとはいったい何でしょうか。
セラミックの特徴
歯科治療の補綴物として使われているセラミックは、白く滑らかな素材で、被せ物や詰め物として使われます。保険適用のレジンやパラジウム合金は表面がややザラザラしていること、密着性が低いことで汚れやプラークが付きやすく、再びむし歯になる二次カリエスになりやすことが大きなデメリットです。セラミックを使った補綴物で治療をすることで、保険適用素材のデメリットをカバーし、二次カリエスのリスクを低減することが可能となります。
セラミックの中でも金属が使われている補綴物は?
セラミックを使った補綴物には、オールセラミック、ジルコニアセラミック、ハイブリッドセラミックそしてメタルボンドがあり、最近ではより強度を高めたe-maxなども使われています。いずれの補綴物もセラミックの美しさを活かしたものであり、審美性そして耐久性に優れています。
しかしこの中でひとつだけ金属が使われているものがあります。それは「メタルボンド」です。メタルボンドとは、金属のフレームにセラミックを焼き付けた被せ物で、セラミックの中では最も歴史が長い補綴物です。
メタルボンドに使われている金属は金75%以上の純度が高い金合金「プレシャスメタル」、金の含有量が50%以下の「セミプレシャスメタル」もしくはコバルトクローム合金、ニッケルクローム合金などを含む「ノンプレシャスメタル」です。
保険治療で使われる金属は「金銀パラジウム合金」で、金属アレルギーやメタルタトゥーを引き起こすパラジウムが問題視されています。同じ金属でもメタルボンドではパラジウムは使われていません。そのため一般的に知られている、金属が持つリスクは低いとは言えるでしょう。
しかし歯周病などで歯ぐきが下がってくると、内部の金属が見えてしまい、それが前歯や小臼歯だとかなり目立ってしまいます。またノンプレシャスメタルを使ったメタルボンドは、歯ぐきの黒ずみを引き起こしやすいでしょう。せっかくセラミックの美しい歯を選んで治療をしたのに、審美面に問題が出てしまうと見た目のコンプレックスを抱えてしまいます。
メタルボンドは白く美しく、強度にも非常に優れています。また他のセラミックに比べて幾分安価なため、選ぶ方も多いと思います。年数が経って歯ぐきに黒ずみが生じたり、使われている金属に対してアレルギーが出てしまう可能性も否定できません。
補綴物を選ぶ際は、メタルボンドの持つ特徴を理解した上で選ぶようにするとよいでしょう。