「よく噛んで食べよう」-こう言われて育ってきた人はとても多いと思います。食事は健康の源ですが、よく噛んで食べることは、お口の健康に欠かすことができません。

しかし最近では、よく噛まずに食事をする人が急増しています。よく噛んで食べることはなぜお口の健康に大切か、またよく噛まないことに対するリスクについてもお話をしたいと思います。

 

以前と今の食生活の変化

昔の、というと少し語弊があるかもしれませんが、かつての一般家庭の食事はわりと質素なものが多かったと思います。和食は体に良いと言いますが、ご飯、汁物、主菜、繊維質の多い副菜2品が基本で、その多くは噛み応えのある食材が使われています。

 

和食は体の健康を気遣った食材が多く、お口の健康にも様々なメリットがあります。特に繊維質のものはよく噛まないと飲み込めません。また家族揃って時間をかけながら、ゆっくりと食事を楽しむことが当たり前でした。

 

しかし食生活は大きく変化しています。ファストフードや高カロリーで一品で充分に満腹感を得られるもの、柔らかくてほとんど噛まずに丸飲みできるもの、ゼリー系飲料など、忙しい現代人にとって「よく噛むこと」よりも「早く食べること」のほうが重要視されるようになってきた気がします。

 

またより美味しいものを、という意識も高い傾向が強く、その多くは柔らかくてそれほどしっかりと噛まずに飲み込めるものが多いのではないでしょうか。

 

このように、現在は「よく噛むこと」よりも「早く食べれて美味しいもの」という風潮が強いのではないでしょうか。

 

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よく噛むことで得られる効果とは?

今の食生活が絶対悪とは言えません。人それぞれにライフサイクルはあります。大切なことは、体の健康とお口の健康を維持することにあります。それではよく噛んで食べることに、どのような効果があるのでしょうか。

 

・唾液がたくさん分泌される・・・唾液にはたくさんの働きがあります。酸性に傾いた口腔内を中性に戻す、虫歯菌などの細菌を洗い流す、口の中で小さくすり潰した食べ物と混ぜ合わせて消化を助ける、再石灰化を促すなど、唾液をたくさん出すことでお口の中の健康を維持します。

 

・脳の働きを活性化する・・・よく噛むと、脳への血流が良くなると言われています。特に高齢者の方は、よく噛んで食べることで認知症の予防になると考えられています。

 

・顎の成長を促す・・・幼少期や成長期のお子さんにとって、歯並びの良い悪しは食生活にも関わってきます。前歯を使ってよく噛むことで顎の成長を促し、永久歯が正しい位置に並ぶスペースを確保します

 

この他にも消化を助ける、口臭を予防するなど、よく噛むことで得られる効果はたくさんあります。時間に追われたり、ついラクに食べられるものばかり食べがちな方は、いちどゆっくりと食事を楽しむ時間を取ってみてはどうでしょうか。

 

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お口の健康、そして全身の健康のためにもよく噛んで食べましょう

昔と今では食文化がずいぶん変わってきています。時間に追われることが多い今の人は、どうしてもあまり噛まない食事内容になりがちかもしれません。柔らかいものがダメ、と言うわけではありませんが、よく噛んで食べることを意識し、1日のうち1食でもゆっくりと時間をかけてゆっくりと食事をしてみてはいかがでしょうか。

 

それはきっと、お口の健康に繋がると思います。